Esplanadeで歌った日
12月13日の藤田恵美さんのEsplanade公演でのミニライブ、
無事に終了しました。
日本からも応援のメッセージ、本当にありがとうございました。
たくさんの方に見守って頂いたライブ、その日の模様をご報告します。
私も記録として残しておきたいので、長くなると思いますがご容赦下さい(笑)。
公演前日はちょっと緊張して、あまり眠れませんでした。
シンガポールで育った私にとって、天下のEsplanadeで歌うという事は、
東京ドームや武道館で歌うより大きな意味を持ちました。
公演当日は割と早起きして、午前中のうちに歌とピアノの練習を終えました。
自宅にピアノがあった事を、こんなに感謝した日はありませんでした。
母が、私と今回スタッフで入ってくれた幼なじみの留美ちゃんと
ヘアメイクさんに、ミニお弁当を作ってくれました。
15:45に父の車とドライバーを借りて、自宅を出発。
マンションの下まで、父が一緒について来てくれました。
「5日の恵比寿でのライブのように歌う事が出来れば、絶対大丈夫だ。」
と、言ってくれました。父はあの場に居たのです。
車の窓を開けて、ハイタッチをして別れました。
16:30に楽屋入り。
Esplanadeの楽屋は細部に渡って気が利いていて、
トイレにシャワーブースまでありました。
ドアに張ってある「SACHIYO」の名前を誇らしく思いました。
17:20に係の方が呼びにいらっしゃいました。
遠く長い、廊下や階段を歩いて、Concert Hallに入りました。
大きくて厳かなホール。
シンガポール随一と言われている最高の音響施設と照明。
何と言う天井の高さ。
何度か公演を観に来た事がありましたが、ここで自分が歌うのだと思うと、
めまいがしました。
ステージでは、恵美さんがリハーサルの終盤を迎えていました。
客席で終了を待っている私を見つけると、去年と変わらない温かい笑顔で、
ステージから両手で手を振って下さいました。
色々な心配をしていた私は、スッと胸が軽くなるのを感じました。
「sachiyoさんどうぞ。」
ステージに上がり、途方もなく広い客席と遠いPAさん達を見つめました。
今年、二度目のスタインウェイ。
鍵盤に触れると何という柔らかい音...その音のこぼれ方は空中を舞うようでした。
ひと度、歌を歌えば、今まで私が聴いた事のない響きが会場中を包みました。
恵美さんのマネージャーの関本さんが、演奏の環境作りに、
色々とお世話をして下さいました。
恵美さん同様、昨年と変わらない温かなお人柄で気遣ってくれました。
ミュージシャンやスタッフの方も..手助けをして下さいました。
ご自分達の事でお忙しいでしょうに...頭が下がる思いでした。
リハを終えて楽屋に戻ろうとした時、恵美さんとお会いしました。
「今回は、ばたばたしてしまって、ゆっくりお話が出来なくてごめんなさい。
sachiyoさんが教えてくれた"Singapura"、今日歌わせて頂きますね。」
彼女はその一言を言うために、私の戻りを待っていてくれたのだとわかりました。
目頭が熱くなりました。
楽屋に戻って、ヘアメイクを施して貰いました。
今回は、Tokoさんという日本人のスタイリストさんに付いて頂いたので、
とてもリラックスする事が出来ました。
それに加えて、実はBVLGARIさんからも宝石のお貸し出しがあり、
総額ウン万のネックレスとピアスと指輪を付けさせて貰いました。
正直怖かったのですが、簡単に身につけられるものではないので嬉しかったです。

5日の恵比寿でのライブで着た紫のインドのチュニック。
マレー風のヘアスタイルに、髪には蘭の花。
まさにシンガポール風の出立ちを作り、あっという間に、本番10分前を迎えました。
バックステージに立ち、モニターでお客様の入り具合を見つめると、
鼓動が早くなるのを感じました。
緊張しないように、自分を沈めて、深呼吸しました。
19:30本番。MCさんが、私のプロフィールを紹介して下さいました。
"...Here is the Musical Ambassador for Japan and Singapore.
Please welcome, Ms.sachiyo!!"
最後のメッセージと共に、ステージに足を踏み入れました。
1,700人近くの観衆。
さざ波のような、今まで私が受けた事のない、大きな拍手に体が包まれました。
ペコっとおじぎをして、ピアノに座りました。
鍵盤に指を置いて、一瞬、目を閉じて、演奏に入りました。
一曲目は「花」。
日本語と中国語で歌いました。
出だしは声が震えてしまいましたが、徐々に落ち着きを取り戻す事が出来ました。
1曲終えて、拍手。
MCマイクを手に取って、ピアノの前に立って、ご挨拶しました。
Good Evening Ladies & Gentlemen.
大家好.
Selamat Petang.
こんばんは。
いつもの4カ国語でのご挨拶です。
以下、英語で話しましたが、日本語でご紹介します。
私はsachiyoと申します。
100%純粋な日本人ですが、シンガポールで育ちました。
Esplanade,Singapore...私の母国で歌を歌わせて頂く機会を
私に下さった藤田恵美さんに心より感謝します。
もう1曲、皆さんに聴いて頂きたいと思っている曲は私のオリジナルです。
タイトルは、日本語では「心の声」、英語では"The voice of your heart"と言います。
シンガポールは多民族国家です。
様々な人種、様々な文化、そしてたくさんの生き方があります。
重要な事は、この多くの選択肢の中で、
あなたが何を選び、どんな生き方をするかということです。
自分を信じ、自分の「心の声」に忠実に、自分自身の人生をつくって下さい。
この曲の歌詞は日本語ですが、この様なメッセージが含まれています。
気に入って頂けたら嬉しいです。
客席は真っ暗で何も見えませんでしたが、
最前列の席の方が、皆さん笑顔になって下さったのはわかりました。
「伝わった!!」
そう実感して、「心の声」を精一杯歌いました。
長くも感じ、短くも感じました。
集中力が途切れないように、ただひたすら鍵盤を追いました。
いつも思う様に弾けない、間奏のピアノソロ。
「ああ、だめだ」と思ってしまう弱い自分を捨て去って、
「私はできる、私はできる」と心に念じて弾きました。
譜面から目を離せず、お客様の顔を見る事が出来なかったので、
とにかく笑顔で歌いました。とにかく笑顔で歌いました。
会場一杯に響き渡る、私の歌、言葉、ピアノ。
曲の終了間際、早く終わって欲しい、終わらないで欲しい、と気持ちが交錯しました。
最後の一音を弾き終えると、恐らく私の人生で一番大きな、大きな拍手を頂きました。
4カ国語でお礼を言い、ステージを後にしました。
バックステージに戻ると、恵美さんとミュージシャンが
「お疲れさま!!」と言って、皆さん拍手で迎え入れて下さいました。
「ありがとうございます。本当にありがとうございます。
どうぞ、集中して下さい。がんばって下さい!!」
そう答えて、皆さんがステージに向かうのを見届けると、
思わずスタッフの留美ちゃんに「終わったよ〜」と言って、へなへなと抱きつきました。
「よくがんばった。よくがんばった。」彼女はそう言って、
私の背中をぽんぽんと叩いてくれました。
涙が出ました...。
演奏を終えるとすぐに、インタビューがあったので、
"Stage Door"と呼ばれる、出演者ロビーに戻りました。
こちらの総合メディアのCOMMのMDのレオナ君とDJの坂本さんが、
「お疲れさまでした。素晴らしかったです!!」と、私を笑顔で受け入れて下さいました。
その日、最初に聴いた客観的な意見に、思わず顔がほころびました。
Esplanade内では様々な舞台が行われていて、
"Stage Door"はたくさんの出演者が横行する場所なので、
録音は笑ってしまう位難航しましたが、年明けに放送される、
新年のご挨拶インタビュー、無事に録り終える事が出来ました。
その際、そこに居た出演者の1人の女の子が、
小道具で使ったと思われる、ガーベラの花を私にくれました。
私も髪に差していたデンファレを取って、彼女にお返ししました。
優しい一時でした。
インタビューを終えると、楽屋に戻って、母のお弁当を食べました。
心に染みました。
日本茶の温かさに、癒されました。
楽屋に備えられているスピーカーから流れる恵美さんの歌声に、
この曲はああだね、こうだねとスタッフみんなで盛り上がりました。
「ひだまりの詩」...去年、デュエットさせて貰ったなあ...。
「Singapura」...歌い出されると、客席から拍手が起きて...よかったと思いました。
MC全編を英語で話され、中国語の歌も披露されて、
私が言うのはおこがましいのですが、2度目のEsplanade公演を十分に自覚されて、
努力されている事がよくわかりました。
彼女の、感情を外に出すのではなく、内包させる歌い方は、
悲しい事も苦しい事も...様々な経験を経た、大人の女性でなければ出来ない事です。
本当に素晴らしいです。
二度のアンコールを含め、全ての演奏が終了するのを見計らって、ロビーに向かいました。
お客様の間を通って行かなくてはならなかったので、
たくさんの視線が私に向けられました。写真もたくさん撮られました。
どうにかこうにかロビーにつくと、恵美さんのCDの販売とサイン会が始まっていました。
凄い行列。恵美さん、さすがだな〜と見つめていると...どうでしょう。
皆さん、私のCDもたくさん買ってくれているのです。
私自身のサイン会は用意していなかったのですが、
CDを買って下さった方達の為に、急遽、立ったままCDにサインを始めました。
1人で何枚も買って下さる方。たくさんのフラッシュ。手をふいて握手をしてくれる人。
たった2曲の演奏だったのに...何かが確実に伝わったのだと、実感しました。
皆さん、口々に「二曲目のオリジナルが素晴らしかった。」
「今度、シンガポールでコンサートをするのはいつ?」と、言って下さいました。
サイン会も終了し、お客様も居なくなり、関係者だけになって、
最後に記念に恵美さんと一緒に写真を撮らせて頂きました。
楽屋でも色々とお話して、東京で再会する約束をして、握手をして別れました。
全ての片付けを終えて、夢のようなEsplanadeを後にしました。
留美ちゃんと一緒に、もう1人の幼なじみの大ちゃんのワインバーで打ち上げをしました。
バーにはライブに来て下さったお客様達も居て、皆さん温かく迎えて下さいました。
1ヶ月も禁酒をしていたので、ビールがまわるのが早いこと、早いこと(笑)
続いてワインも飲んだら、何だかもうわけがわからなくなって来ました。
かなり酔っぱらってしまい、ふらふらになりながら、留美ちゃんに家まで送って貰いました。
着くなり、ベッドにゴロン。
そこで一瞬、記憶が切れましたが、電気を付けっぱなしにしていたので、
ふと目が覚めると、まだ2時間位しか経っていませんでした。
そこからちゃんと寝支度をして、寝ようと試みましたが、興奮して寝れません。
リハーサルからまた一通り、自分の中でEsplanade公演を行ったら(笑)
あっという間に朝になってしまいました。
しょうがない、起きようとリビングに行くと、既に起きていた両親が、
「もう起きてきたの?早いこと。昨日はがんばったね!!」と言いながら、
2人で拍手をしてくれました。
その拍手で、全てが終わった事を実感し、満足感で胸が一杯になりました。
今回の私のEsplanadeへの出演に関して、様々な方がご協力をして下さっています。
COMMの森会長を始め、気遣って下さった全てのスタッフの方に、お礼を申し上げます。
そして、何よりご自分の大切なコンサートに私が出演する事を承諾して下さった、
藤田恵美さんに心から感謝します。
これは何かのスタートだと感じています。
来年は、私の新しい活動の幕開けになる事を予感しています。
シンガポールは、やはり私の故郷です。
十分に体と喉と心を休めて、2009年に備えたいと思います。
本当にありがとうございました。