本田美奈子. さん
時折、仕事がきつい時や、歌に行き詰まった時に、聴く歌があります。
それは本田美奈子.さんの歌です。
生きていれば、彼女は私と同じ年でした。
実は私は、高校、大学の時に原宿や渋谷でナンパされたりすると、
「本田美奈子に似ているね」と言われて、声を掛けられる事がよくありました。
はい、すみません...。異論は色々あるでしょうけれど...(笑)
当時の私の身長と体重は162cm、43kg。
彼女と全く同じ体型だったのです。
顔はずっと彼女の方が小さいし、可愛らしいけれど、
当時は私もかなり痩せていたので、
自分でも「目」は少し似ているかもしれないなあと、思ったりしました。
カラオケに行っても、決まって周囲にリクエストされるのは、
「1986年のマリリン」ばかり。
しかし、同じ細く高い彼女の歌は、実際私にとって歌い易く、
そんな事から彼女に興味を持ち、レコードを買ったり、TVで放送される
彼女のライブをよく観たりしました。
彼女はライブで、オリジナル以外に演歌や洋楽のカバーを歌う事が多く、
歌手として高い自意識を持っていて、色々な歌を歌いこなしたいと
思っているのではないか...等と思ったりしました。
当時の私はかなりハードロック志向で、
ゲイリー・ムーアのアルバム何かをよく聴いていたのですが、
そのゲイリー・ムーアが彼女に楽曲提供したのは私にとっては衝撃的でした。
「The Cross〜愛の十字架〜」という楽曲で、私はレコードを買いに行き、
よく一緒に歌ったものです。
自分で初めてチケットを買って観に行ったミュージカルが「ミス・サイゴン」でした。
本田美奈子.さんが主演だったからです。
もの凄く観たいと思いました。
92年の事でした。
その時の彼女の歌と演技力に度肝を抜かれました。
なんという声。なんという迫力。
歌の向こうに、たくさんの努力がはっきりと見えました。
人間は、努力すれば、こんな声が出せるようになるのだと。
興奮で体の震えが止まりませんでした。
私も音楽の世界で歌を歌うようになると、彼女と接したとか、
彼女と仕事を共にしたといった人から、彼女の話を聞く事もありました。
とにかく周囲への気配りを忘れないやさしい人。
恐ろしい程の根性の持ち主で努力家だと、
みなさん、口々におっしゃっていました。
クラシックとポップスの融合という新しい境地を開いて、
数々の名唱を彼女は残しました。
中でも「アメイジング・グレイス」は群を抜いています。
ちょっとやそっとでは歌えない曲です。
この曲は、あらゆる角度から分析し、血がにじむ程の努力をして、
何百回、何千回と練習し、全てを超えた上で心を裸にする事が出来た人でなければ、
私は歌ってはいけないと思っているのですが、
彼女の歌う「アメイジング・グレイス」は、正にその見本と言えます。
これから、という時に本田美奈子.さんは亡くなりました。
2005年の事でした。
お葬式をTVで観ました。
お友達の南野陽子さんが、
「私を筆頭に、歌も上手じゃなくて、努力も足りない...そんな人が一杯いるのに
「何で?」って...すごく思う。」と、言っていたのがとても印象的でした。
歌いたかったのに、歌えなかった人がいる。
生きたかったのに、生きることが出来なかった人がいる。
私は歌える。私は生きているし、歌を歌える。
私の抱えている悩みは、歌える上での悩みだと。
私が行き詰まった時に、リアルに胸に響き、堪える歌が、
本田美奈子.さんの歌なのです。
私には今、ある一つの具体的な目標があります。
プロジェクトが動き出しました。
制作作業に入っています。
結構苦しいです。地味な作業が続いています。
しかし、このプロジェクトが実現した時、
私は歌手としての夢を、一つ形にする事が出来るのです。
最良の形にする為にも、努力を惜しまずがんばろうと思っています。
そして、協力してくれるスタッフへの気遣いを忘れないようにしようと思います。
彼女のように。
私の勝手な想いですが...。
今日11月6日は、本田美奈子.さんの命日ですね。
どうぞ安らかに...。