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Today's affair 2

最近タクシーに乗ると、日本好きの運転手のおじさんに当たる事が多い。

自分がいかに日本が好きか、とくとくと語るおじさんも居れば、

「あなた、アラサー?アラフォー?」と日本のスラング(英語的に言うとこうでしょ)を
連発する妙なおじさんに出会った事もある。

しかし、今日のタクシーのおじさんは特別だった。

私が日本人とわかると、自分は日本が大好きで何度も行った事がある、
思い出の場所は「虎ノ門」と言った。

虎ノ門?
何でそんな特定地域?
何かワケアリな感じだったので、聞いてみると昔日本人の彼女が居たと言う。

「どこで出会ったの?シンガポール?」(私)

「いや、ロンドン」(運転手)

ロンドン?
よくよく話してみると、質の高い英語を話す。
元、エグゼクティブ・ビジネスマンか?
聞けば、某航空会社の社員だったと。

そこから彼は、滔々と語り始めた。

私はビジネスでロンドンに行った。
彼女は留学生としてロンドンに来て居た。
同じホテルのロビーで出会った。
ロビーで彼女を見かけ、その後ミーティングに出掛け、
4時間後、ホテルに戻ったら、彼女はまだロビーに居た。
不思議に思い話しかけてみると、留学の手続きだか何かで手間取っているようで、
可哀想に思い、助けてあげた。
そこから知り合いになり、自然と付き合うようになった。

日本とシンガポールを二人は幾度と無く行き来した。
二人とも結婚したいと思っていたが、彼女の両親が許してくれなかった。
彼女の祖父は有名な歌舞伎作家で、厳格な家だった。
シンガポールの男と結婚する事を許してくれなかった。
虎ノ門は、彼女の両親がイタリアンレストランを経営していた場所で、
その近くまで良く行ったから、思い出がたくさんある。
日本には何度も行って...成田の近くのホテルに泊まって、
ただ会って帰るだけのこともあった...でも、我々は結局別れた...。

「その後、あなたは別の女性と結婚するような事はあったの?」(私)

「シンガポーリアンの女性と結婚したが、離婚した」(運転手)

「日本人の彼女との思い出が強過ぎた?」(私)

「そうだと思う」(運転手)

このおじさんは、日本人を見れば、誰にでも話しているという訳ではないなと、
思った。上記の会話の前に、私の英語があまりにシンガポーリアンっぽいので、
興味を持たれ、私がこちらで育ったこと、シンガポールを特別に思っている事を
話していたので、だからお話してくれたのだと思う。

私はとても素敵な出会いのように感じたので、

「素敵な、でも辛いお話を私に話してくれてありがとう。
 私の職業はシンガーソングライターなんだけど、今アルバムを制作していて、
 6月末にシンガポールで発売されます。あなたには聴いて欲しいと思う。
 私の名前を覚えていて下さい。sachiyoと言います。」と言った。

彼は絶句した。

「どうしたの?」(私)

「僕の彼女の名前は"サチコ"だったから...」(運転手)

その後、彼は自分の名刺を差し出して、こう言った。

「タクシーが必要な時、困った時、いつでも連絡してね。
 そして僕は必ずあなたのアルバムを買うから。
 sachiyoという名前、忘れる訳がない」

「ありがとう。また絶対に連絡します。」

固く握手して、私はタクシーを降りた。

おじさんにその時の話を色々聴いてみたいと思う。
クリエイターとして俄然、興味が湧いた。
レコーディングで遅くなって、タクシーが必要になった時は彼に電話しよう。
しかし、夜遅くは、逆に危険かしら?(笑)