Mixing終了!
またちょっと間が空いてしまって、すみません。
COMPASS Awards以後2週間、ミキシング(編集)に苦しんでました。
アルバム収録曲全11曲。
各曲性格が違うし、方向性も異なるので、1曲1曲シングルCDとしても成り立つように、
かと言って、同じアルバムの屋根の下に収めている意味合いもちゃんと
汲もうとしているからまあ大変。
編集が大変と言うと、そんなに修正してるのかと思われちゃうかもしれないけど、
そういう事ではありません。
ProToolsというソフトが登場して以来、様々なデジタル処理や加工が
出来るようになったのは事実ですが、今回私が最もこだわったのは、
ヴォーカルの立ち位置や、各楽器のバランス、音量や音質等についてです。
歌詞の意味合いを考えて、ヒロインの心をどこに置くのか。
どの程度のボリュームにするのか。
歌ってる空間は、ホールか部屋の中か。
臨場感をどのように出すか。
Audio files、つまりオーディオマニアにも納得して貰えるような音作りを
目指しました。
プロデューサーのAdamとRuthが抜けてからも、
エンジニアのGeoffと二人で取っ組み合って、最終仕上げに一週間を費やしました。
Geoffは私以外にも、シンガポールの国家プロジェクトを何本か抱えてますが、
「他のプロジェクトが終わった後、作業は夜でもいいかい?
sachiyoのアルバムはじっくりやりたいし、その方がゆっくりやれるよ。」
と言ってくれて、だからスタジオ入りはいつも21時とか22時。
そこから5、6時間かけるので、帰りは毎回明け方でした。
帰り道。
深夜、道はすっかり空いているので、タクシーはビュンビュン飛ばします。
高速から、シンガポールの夜景を眺めながら、音の方向性に迷った時は、
涙が出る日もありました。
精神状態の善し悪しによっても、音の聴こえ方が違ってくるので、
少し回復してから、もう一回聴いてみよう等、自分の状態のコントロールも必要でした。
家に3時とか4時に着いて、耳の中に音がこびりついて寝れないので、
ホットミルクにハチミツを混ぜたものを、両親を起こさないように、
キッチンでひっそりと飲む...なんて日も何回かありました。
全てを支えたのは、私がこのアルバムの「プロデューサーである」ということ。
だから泣き言は言わない。
指示や、意思表示、理由は明確に言う事。
かと言って、わからない時はカッコつけないで言う事。
「でも、わからな〜い。助けて〜!」ではなくて、
「ここの部分のこういう部分がわかりません。
どのような方法を使えば、この音が明確になりますか?」など、
相手が答えやすくなるような質問をすることを心掛けました。
Geoffはいつもにっこり笑って、
「方法はAとB二つある。両方やってみて、両方のヴァージョンを作ろう。
ここで判断出来なかったら、家に持って帰って聴いてごらん。返事は明日でもいいよ。」
9月発売は決定しているので、途中時間をかければ、
最後は睡眠時間度外視でやらなければならない事態が起きるのがわかっているのに、
彼は「sachiyoが、良しとする音を作ること」を、何よりも優先してくれました。
面白かったのは、レコーディングの際に決めていた曲順が、
ミキシング終了後には大幅に変わってしまったこと。
自分自身でストーリーを作って曲順を組み立て、
エグゼグティブ・プロデューサーである社長に提案、一発OK。
最後のミキシング日である昨夜、さすがにユンケルを2本持参して、
「Geoff、これお土産。Japanese Major Leaguerのイチローも飲んでるのよ〜。
これ飲んで、今日は最後のひとがんばりしよー!」と言ったら、
「ああこれ、sachiyoがいつもレコーディングの時に飲んでた奴ね。
何飲んでんだ?って、いつも不思議に思ってた。大丈夫。
今晩の仕上げはそんなに大変じゃないよ。もったいないから取っておく。」
と言われ、何だか気持ちがほんわかしてしまいました。
最終日は所要時間1時間半。
21:30にスタジオ入りしたけれど、23時には作業を終えました。
何回も編集し直したので、Mix 3aとか、Mix 4bB1とか、
ファイルネームが色々あって、しかも5まで作ったけど4に戻ろうと
いった事もあったので、どれがファイナルミックスか確認するのに一苦労。
Mix 7までいった曲もありました。私は本当にこだわり過ぎ。
そしてついに全曲の最終ファイルと曲順を添えて、マスタリングに出しました。
今回はマスタリングはアメリカで行います。
何だかスターみたいでしょ?(笑)
日本人とシンガポール人が作った音源を、アメリカ人がマスタリングする。
さあ、どんな音になって帰って来るか。
「sachiyo、ここまで音にこだわったんだから、あなたアメリカに行って、
直接エンジニアと話し合って来たら?」と言われましたが、
残念ながら、そんな時間はありません。
ジャケットの制作、プロモーションのプランニング等、
発売日までやる事はまだまだ山程あります。
全ミキシング、所要日数1ヶ月。
前作2枚とも、2日でやった事(それもありえない話ですが)を考えると、
大変な時間の掛け方です。
最初から最後まで、親身になって付き合ってくれたGeoffにひたすら感謝。
そして、自分の担当が終わってからも、
「迷ったり、悩んだりしたら、いつでも相談して。
夜11時以降で良かったら、いつでも駆けつけるから。」と言ってくれた
ヴォーカル・プロデューサーのRuth Lingにもひたすら感謝。
彼女は今、Dick のミュージカルのピアニストとアレンジャーで、
毎日、13時〜23時までリハーサルを行っているのです。
そんな長時間リハを行った後に、来てくれると言ってくれたRuthの気持ちが
私は本当に嬉しかった。事実彼女は心配して、リハ現場から何度か電話をくれました。
甘える場所があったから、
「大丈夫。私はプロデューサーだから。ここは自分で決めないと。」と
答えられたのかもしれません。
Geoff、Ruthありがとう。私、やっと安心して寝れるよ。本当にありがとう。
▼GeoffとRuth。レコーディングが終了した日、ビールで乾杯した時の写真です。
二人で"Cheers to sachiyo!!"と言ってくれています。"Cheers to both of you, too!!"