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再見、Mr.Producer

今日、"Michelle"を含めた3曲のミキシングを終えました。

ごめんね。
日本からたくさんメールを頂いていて、
お返事しないままブログを書くのは心苦しいのですが、
今の気持ちを少し書いておきたいのでお許しを。近日中にお返事します。

終わった後に涙が出るかな?と思ったのですが、また泣かなかった。
何だか晴れ晴れとした気持ちというか、非常に穏やかな心持ちで居ます。

この3曲を担当した例の鬼プロデューサーは、ここで一旦手を引く。
楽曲のアレンジと、プロデュースという大役を引き受けてくれた。
3月からアレンジを始めて、たくさんの、本当にたくさんの苦楽を共にした。
くじけそうになった時、「君なら絶対にやれる」と私を何度も励まし、
最後まで私を信じ続けてくれた人だ。
担当した3曲だけではない。
本当にあらゆる事に相談に乗って貰った。
同年代で、昔のシンガポールと今のシンガポール、同じ時代を見て来た。
デジタルとアナログのバランスが私には丁度良く、一緒に居て心地のよい人だった。

今日ミキシング中、

「ここのピアノのフィルいいよね。」とエンジニア。

「ああ、これは彼女の提案。sachiyoは俺のフィルが気に入らなくて、
 ここ何度かやり直したよね。最後には"こう弾くのよ!"って自分で弾いてみせてさ。
 こいつただもんじゃないと思った!(笑)」とプロデューサー。

「そんな事あったねー。ごめんねー。」と私。

かと思えば、

「ここはアレンジが良くて、歌詞とクラッシュしていたので、
私は滅多に歌詞よりメロディーを優先しないんだけど、歌詞を変えたのよー。
 ここはアレンジに負けた場所だわ。」と言って、みんなで笑って。

彼は、デモを何度も何度も作り替えて、私の要求にとことん応えてくれた。
そしてどんな質問をしても、明確な返事が返って来た。
私が指示した内容を周囲に話したら、
大物プロデューサーに対して、大変勇気ある行為だったようで、
みんな冷や汗をかいていた。怖いもの知らずとはこういうこと。
でも、彼はそれをとても面白がってくれた。

ミキシング前に、Michelleとの写真や、
Michelleと一緒に遊んで、実際に住んだ家の写真をみんなに見せた。
30年以上も前に住んだ家は、3年前まで立て壊されずに残っていた。
写真は9年前に撮ったもので、
「今はないとは言え、リノベーションも行わずに最近まで同じ形のまま残っていたのは、
 シンガポールでは奇跡だね。」とみんな感心していた。
写真を録った時に拾ったプルメリアの花も押し花にしてアルバムに入れていたので、
「Michelleは本当にあなたにとって、特別なんだね...。」と、
みんなでしんみりしながら、スタジオに入った。

"Michelle"という楽曲は、私にとって本当に特別だった。
今回、1stアルバムの収録内容とは大幅に方向性を変え、非常に現代的な
アレンジになったが、素直さや素朴さ、誠実さはきちんと残っている。
録音の失敗を乗り越えて、とても落ち着いたヴォーカルを残す事が出来た。
細部に渡ってみんなで音を検討して、音楽が段々地に足が着いて来て...
納得の行く形で、ミキシングを終える事が出来た。

別れ際、プロデューサーに、
"sachiyo...thank you for everything."と言われ、

「何であなたが言うの? 私があなたに言わなくてはならないのに。
 あなたが居なければ、私はきっとここに辿り着く事が出来なかった。
 Thank you for everything...」と返事をした。

「今度はぜひ、ステージ上で。」
 ライブでの共演を誓い合い、握手して別れた。

彼のメインの楽器はギターだが、ピアノにベースにドラムもこなす。
それが全て超一流レベルという驚異的なMulti instruments playerである。
その上、管楽器から弦楽器のアレンジまで。
基本はジャズミュージシャンだが、全ジャンルに精通し、
小編成からオーケストラまで...まさにマエストロ。
 
彼は、明日から長期間、香港とアメリカに行く。
世界が必要としているプロデューサーだ。
一緒に仕事が出来たことを誇りに思う。
ありがとう、Adam Lee。

Adamは、来月シンガポールで開催される"Youth Olympic Games 2010"の
オフィシャル・テーマソング"Everyone"のアレンジも手掛けています。
5大陸の若手代表アーティストによる共演。ストリングスの録音は北京です。
相当大変だったらしい。
▼ぜひ聴いてみて下さい。