Sachiyo debut concert in Singapore part 2
Esplanade concert...後編です。
リハーサルが終了して、本番まであと1日。
忙しくてアップデート出来なかったのですが、
結構メディアの取材を受けたりしていました。
本番前日の早朝のGold 90.5FMのインタビューは楽しかったけれど、
何だかばたばたしてる感じは否めなかったなあ。
もうちょっと、ちゃんと答えたかった。
そして本番当日。
玲子をホテルからpick upして午後14:00入り。
2年前に入った、EsplanadeのStage Door (出演者入口)が懐かしくて、
自分のコンサートのタイトルが入っている出演者パスを頂いた時は嬉しかった。
出演者パスは、Musician とか Crewとか色々な肩書きが入るのですが、
主役の「Artiste」はたった1人だけ。
シンガポールはBritish Englishなので、"Artist"に"e"が付きますが。
しかし、Esplanadeのバックステージというのは本当に広くて、
もう何度も下見や打ち合わせに行ったのに、
関係者に案内して貰わないと、方向音痴の私はいつも迷子になる。
予定時間ぴったりにEsplanadeに着いたのに、楽屋に辿り着くまで40分掛かった。
ようやくRecital Studioに着いたら、ミュージシャンはもう全員スタンバイしてた。
でも、みんな笑顔で迎え入れてくれた。
機材セッティングして、ラインしいて、いよいよサウンドチェック。
これが結構時間が掛かった。
ミュージシャン1人1人、かなり音の設定が細かい。
日本の倍の時間掛かる。段々イライラして来て、
「こんな細かいやり方していたら、リハーサル出来なくなる!」と、
声を荒げてしまい、一瞬会場がシーンとなってしまう場面もあった。
いけない。
やはり、色々な方法論が日本とシンガポールでは違うのだ。
シンガポールの初めてのオリジナルのコンサート。
しかもEsplanadeと、敷居を高く設定している事もあり、
やってみないとわからない事が多々あった。
結果、リハーサルはフルで出来ず。
出はけも、全く打ち合わせできず。
リハは17:00に終わるはずが、既に18:00。
不安が残る形になったけど、
玲子の「大丈夫。Sachiyoは本番強いから。」という言葉に助けられる。
楽屋に戻って、ヘアメイク開始。
Shunji Matsuo Hair StudioのKaoruさんが担当。
彼女は、私のアルバムのヘアスタイリングも担当してくれていて、
このコンサートに至るまでの長い道程を知っているので、
色々と気を使ってくれた。
「相当ハードスケジュールだったでしょう。顔が死んでるよ。
でも、今日は主役なんだから。晴れ舞台なんだから。
ちゃんとキラキラにしてあげるからね。」
スタッフからケータリングされた食事はチキンライス。
玲子は嬉しそうに食べてた。
私は食事は取らず。歌う前は食べない。
でも倒れるといけないので、ユンケルを1本飲む。
19:00。いよいよ開演時間が迫って来た。
周囲の動きが慌ただしくなる。
スタッフみんなが、走っている音が聞こえる。
緊張して手が震えて来て、マニキュアが上手く塗れない。
マネージャーのSarahが「自分で塗っちゃだめ。私に貸して。」
と言って、塗ってくれた。
19:10開場。
お客様からお花やお菓子や色々な物が楽屋に運ばれてくる。
花束の中に紫のバラを見つけて、「ガラスの仮面」を思い出す(笑)
19:30。
出演者全員、舞台袖に着く。
10分押しで本番スタートすると、ステージマネージャー。
5分前。一番嫌いな時間。
"5 mins before the show. I really hate this moment..."と言うと、
出演者みんな"No worries. You really look great today."とか、
"So beautiful, Sachiyo"だの、何だかんだと盛り立ててくれる。
この辺りは、日本人の男性ミュージシャンには見習って欲しいところ。
"All musicians standby please."
全員、配置に着く。
バックステージに1人残る。
チューニングや、イヤモニ付け忘れた人も居て、準備に時間がかかる。
1曲目、Southern Christmas。
タブラソロスタート、順次、各パートイン。
そして...出番。
"Sachiyo, are you ready?"
"Yup. It's...show time!"
口角上げて、きっちり笑ってから、ステージイン。
お客様から拍手。
スツールに腰掛ける。客席を見渡す。
暗くてほとんど見えなかったのだけど、母の笑顔だけが見えた。
もう逃げない。
さあ、楽しもう。
ミュージシャン全員のふわっとしたイントロに、ゆるやかに滑り込む事が出来た。
ああ、やっとここに立てた。
お客様の顔を見ながら、時に後ろを振り返りながら。
左にAdamの笑顔があって、右を向けば玲子が居て、目の先には真剣な眼差しのGeoff。
そして背後から、CaseyとNoorとMeiの音が交差する。
幸せだ。私。
1曲歌って、ご挨拶。
"I've been waiting for this moment for a long time.
I took 1 year and 3 months to complete production of my new album
"My Life, My Songs" and I could finally stand here tonight.
I'm very happy to see all of your faces. Thank you so much for coming.
My name is Sachiyo."
そこからは、無我夢中。
2曲目の"Michelle"は、スクリーンに二人の幼い頃の写真を投影しながら歌う。
この曲のレコーディングは9時間掛かった。
最初の難関だった。
それももう9ヶ月も前のこと。
3曲目、4曲目は "Lee brothers medley"と称して、
Dick 提供曲の"The way that I love you"、
そして4曲目はオリジナル。
原曲名「太陽のあたる場所へ」英語タイトル"Tropical State of Mind"。
Dickの弟、Peter Leeと英詞を作った。
Dickの曲も、最終的にこの曲に決まるまで、色々な事があった。
天下のMr.Asiaにも、私は自分の意見を正直にぶつけた。
"I believe this song perfectly suits to Sachiyo."というメッセージと共に
送られて来たDick自身の弾き語りのピュアな音源。
一聴した時の感動は、今も忘れられない。
Peterは、この曲の音節の多さに苦しんだ。
日本語が少しわかる彼は、原曲の日本語詞をそのままローマ字で送ってとも
リクエストして来た。「とにかく、君の原曲の意味を大事にしたい。」
私のメロディーをとても尊重してくれた、作詞家の1人だった。
5、6、7曲目は、カバーシリーズ。
まずは "Red Sweet Pea" 、「赤いスイートピー」。
1コーラス英詩で、2コーラス目は日本語詞で。
玲子には、シェイカーとコーラス参加もして貰った。
そして"A Long, Long Time Ago"。
最初の録音曲だった。4月16日のこと。
声帯がまだ安定してない頃で、スタジオでまだ私はマスクをしていた。
Meiのレコーディング以上のイントロと、ピアノソロ。
この人はやっぱりジャズ・ミュージシャン。即興性が高い。
カバー最後は台湾の大ヒット曲、"I Am Not A Star"。
アレンジャーのTerence Teoと、ケンカに近い言い合いをした。
彼の自宅スタジオに3回も訪ねてごちゃごちゃ言ったので、
子供達にも顔を覚えられてしまった。
"Hello again, anti."と言われ、"Aiya, don't call me anti (おばさん)!"と言って
みんなで笑った。
ストーリーを組み立てるのが一番難しかった曲だ。
7人のストリングスに参加して貰った。録音日はどしゃ降りだった。
次のコーナーは、Asian Medley。
オリジナルの"Lah Lah Lah Singapura"、"Makan Paradise Singapore"、
"月亮代表我的心"、"Bengawan Solo"そして"Matahari"。
編成を色々変えた。
全員でスタートして、ベースとタブラのみ、ピアノとのみ。
最後はまた全員で仕上げる。
中断無しに5曲続けてというのは、今までやった事がなかったけれど、
順調に運ぶ事が出来た。
Matahariでヒートアップ。Noorのジャンベが唸る。
さらに次のコーナー。
SachiyoのOriginal Love Song Medleyと名付け、
「全てはラブソングです。色々な愛の形を表現しています。」
"Arigato"、"More than friends"、"Goodbye"と3連続。
印象的だったのは、"Arigato"は英語詞であっても、
泣いている日本人のお客様がいらっしゃったこと。
「歌というのは、想いなのだ」と再認識する。
鈴木大使ご夫人が、母の肩にそっと手をおいたのが、ステージからも見えた。
父とも目が合った。
ピアノとばかりやって来た"More than friends"も、
今回は思い切ってギターとのデュオでやってみる。
そして、二胡を中心としたアレンジの"Goodbye"、原曲「再見」。
この曲を作ったのは8年も前。
まさか英語ヴァージョンを作るなんて思いもしなかった。
そして最終曲「心の声」。"Voices from your heart"。
もうこの曲のエピソードは、説明しなくてもおわかりだと思います。
「実は私はEsplanadeで歌うのは初めてではありません。
この曲が、シンガポールに来る事を決めた、きっかけとなった曲です。」
この曲も紆余曲折が色々あった。妥協を許したくない曲だったから。
"Believe your inner voice.
Just keep moving on.
And listen to the voices from your heart."
私の音楽がよいものなのかどうかはわからない。
だけど、自分自身の内側で鳴っている音を、ひたすら信じてここまでやって来た。
そして私は今、シンガポールで、Esplanadeで歌っている。
終了。メンバー紹介。一人一人、丁寧に紹介したかった。
かけがえのない人達だから。
実は「心の声」を歌う前に紹介したかったのだが、
やっぱり緊張していたんだと思う。すっ飛ばしてしまった。
そしてもう一つ。やってしまった事がある。
最後、笑顔でお客様に手を振って、バックステージに戻ろうとした時、
黒いカーテンとドア。
ステージマネージャーが居なくて一瞬どちらに入っていいかわからなくなり、
ドアの方を開けてしまい、入ってしまったのは2帖位の倉庫!!
そこに、ミュージシャンも全員入って来てしまい、押しくらまんじゅう状態。
"Sachiyo, where is this??"と言われ、"I also don't know lei."、みんなで爆笑。
「アンコールだ。いかなくちゃ。」とCaseyとNoorが出て行こうとして、
「ちょっと待ってよ。アンコールはSachiyoだけでしょ。」と玲子が止めて、
もうみんなで訳わからなくなってました(笑)
そしてアンコール。
「この曲をアンコールで歌う歌手というのは、珍しいと思います。
でも、私のシンガポールでの人生は、この曲と共に始まりました。
私が最初に覚えたマレー語の曲です。
今日、日本人のお客様にも多く来て頂きましたが、僭越ながらメッセージを。
どうぞ、シンガポールとシンガポーリアンに心を開いて下さい。
私は30年以上この国を知っていますが、アルバムの制作を通して、
まだまだ知らない事がたくさんある事がわかりました。
本当にたくさんの思い出を作る事が出来ました。
どうか帰国する前に、たった1人でもいいからシンガポーリアンの友人を作って
行って下さい。そして素敵な思い出を作って下さいね。」
そう英語で伝えて、イントロ。
歌ったのは、自分でアレンジしたシンガポール国歌"Majulah Singapura"
最初の歌詞を歌った瞬間、シンガポーリアンのお客様から拍手。
よかった。
実はかなり勇気の要る選択だった。
リハーサルの際も、全スタッフ集まって、歌ってよいかどうかみんなで討議した。
「国歌を歌う」というのは、特別な意味があるのだ。特にこの国では。
しかし、みんなに私のアレンジを聴いて貰い、最終的には踏み切る事にした。
歌い終えて、ミュージシャン全員、ステージに戻って来てくれた。
みんなの笑顔が嬉しかった。
全員一列になって、あいさつ。
胸が熱くなった。
16曲、インターミッション無し。1時間40分、難曲メドレー歌い切った。
バックステージに戻ると、スタッフ全員拍手で迎えてくれた。
終えてみて、思うのは反省点ばかり。
トークは全編英語で通したが、日本語でも伝えればよかった事がある。
もっと言わなくてはならなかった事も他にたくさんあった。
通常の会話では、英語と日本語をきちんと使い分けてるつもりだけど、
ことステージとなると、まだ慣れてない部分もある。
歌自身も、突き抜けられた曲、抜けられなかった曲、色々ある。
でも、きっと。
翌日に頂いた、たくさんのお客様からのメール。
今回は手書きのお手紙も、郵送で何通も頂いた。
そして共演者全員からの「次はいつ?」というメッセージ。
多分、きっと。
一番、大切な事は伝えられたのではないか...と思う。
自分のオリジナル曲ばかりの、本当の意味でのデビューコンサート。
無事に終えられた事、ご協力して下さった関係者の皆さんに
心からお礼を言いたい。
全てはまだ始まったばかり。
勉強しなくてはならない事はたくさんある。
でも、何だかもう怖くない。
強い味方がたくさん出来たから。
階段を一つ一つ登って、私はこのシンガポールで、
まだ見た事のない景色をもっと見てみたいと思う。
そして、My Life, My Songs...その数をもっと増やしていきたい。
アルバムのジャケットの中に、私が手書きで書いたメッセージをご存知ですか?
そのメッセージが多くの人に伝わるように...私はこれからも歌い続けていきたいと思う。